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幸田文幸田文 (著書名)流れる(著作者)幸田文(コメント)梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る…。華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。花柳界に力強く生きる女性たちを活写した幸田文学を代表する傑作。日本芸術院賞、新潮社文学賞受賞。
幸田文幸田文 (著書名)台所のおと(著作者)幸田文(コメント)女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角だつな。さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変ったことに気付く…音に絡み合う女と男の心の綾を小気味よく描く表題作。他「雪もち」「食欲」「祝辞」など十編。五感を鋭く研ぎ澄ませた感性が紡ぎ出す幸田文の世界。
幸田文幸田文 (著書名)季節のかたみ(著作者)幸田文(コメント)今朝の雲はもう居ません。その代り風が訪れてくれます。季節の移り変りを見るのが、私は好きです。なにより有難いのは前向きの心でいられることでしょうか。時の移ろいを瑞々しい五感がキリリと掬いとった名篇。「くくる」「壁つち」「台所育ち」…失った暮しや言葉の情感が名残り惜しく懐しく心にしみる一冊。
幸田文幸田文 (著書名)父・こんなこと(著作者)幸田文(コメント) 父・露伴の死にゆく姿と、続く葬儀の模様を綴り、刻々の死を真正面から見つめた者の心の記録とした『父―その死―』。掃除のあとで、念を入れるために唱えなければならない呪文「あとみよそわか」のことなど、露伴父子の日常の機微を伝えるエピソード七話からなる『こんなこと』。誠実に生き、誠実に父を愛し、誠実に反抗した娘が、偉大な父をしのんで書き上げた、清々しいまでの記録文学。
幸田文幸田文 (著書名)崩れ (著作者)幸田文(コメント)山の崩れの愁いと淋しさ、川の荒れの哀しさは捨てようとして捨てられず、いとおしくさえ思いはじめて…老いて一つの種の芽吹いたままに、訊ね歩いた“崩れ”。桜島、有珠山、常願寺川…瑞々しい感性が捉えた荒廃の山河は切なく胸に迫る。自然の崩壊に己の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた名編。
幸田文幸田文 (著書名)きもの(著作者)幸田文(コメント)明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまできものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。
幸田文幸田文 (著書名)おとうと(著作者)幸田文(コメント)高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。
幸田文幸田文 (著書名)包む(著作者)幸田文(コメント)季節と詩情が常に添う父露伴の酒、その忘られぬ興趣をなつかしむ「蜜柑の花まで」。命のもろさ、哀しさをさらりと綴る「鱸」、「紹介状」「包む」「結婚雑談」「歩く」「ち」「花」等、著者の細やかさと勁さが交錯する二十九篇。「何をお包みいたしましょう」。子供心にも浸みいったゆかしい言葉を思い出しつつ、包みきれない“わが心”を清々しく一冊に包む、珠玉のエッセイ集『包む』。
幸田文幸田文 (著書名)珍饌会 露伴の食(著作者)幸田文(コメント)此方あ何様せただの美味いものを食ったって悦ぼうという玉じゃあ無えので、人のまだ食わねえ誰も知らねえ、通の上の通、異の上の異なものを食おうというんだ―。露伴周辺の好事家たちをモデルに描く抱腹絶倒の戯曲「珍饌会」ほか、河豚を愛した文人の漢詩を読み解く「桃花と河豚」、故事来歴から料理法まで網羅した「鱸」など、稀代の碩学・露伴の蘊蓄と諧謔を味わう名篇集。
幸田文幸田文 (著書名)幸田文 季節の手帖 (著作者)幸田文(コメント)随筆の名手が描く、ぞくりとする季節の情感。あたたかい涙が心をうるおす「幸田文の言葉」シリーズ4冊目。